殺してやりたいくらいムカつく女がいる・・・

メール送信者名:
泉和之

メール本文:
ざわめく居酒屋のカウンターから
うめくように搾り出された物騒な言葉。
それはJ先輩の意外な一言からはじまりました。
「オレを見下したような目で見やがってあのクソ女・・・」
久しぶりに会ったJ先輩は某有名企業の派遣社員。
以前に会った時よりも髪の毛は抜け落ち、
体脂肪も増加しているのでしょう。
J先輩の身長は158センチ。
居酒屋のカウンターで焼酎をあおる姿は、
まるで短い手足のついただるまのようでした。
私はそんなJ先輩の口から「女」という言葉が出てくることが
ちょっと不思議でした。
というのも、先輩は以前から「女の話題」を
避けてきたように感じていたからです。
「あのクソ女どうしてやろうか・・・」
話を聞いているとJ先輩は必死で隠している様子でしたが、
J先輩がその女を好きなことは明白でした。
どうやらその女はJ先輩の勤める有名企業の受付嬢で、
スラリとしたスレンダーな美人。
40代半ばに差し掛かったJ先輩とは年齢差もカナリありそうです。
しかし、J先輩のその語り口の真剣さからは、
その女への想いや執着が伝わってくるようでした。
私はJ先輩の口から出るその女への愚痴とも悪口ともいえない
その言葉をずっと黙って聞いていました。
「本当はオマエもオレのことバカにしてんだろ」
五杯目の焼酎が空になり、J先輩は私にからんできました。
「確かにオレはイケメンとはいえないかもしれねえ
 だからってあんな女にナメられるような覚えはねえッ」
私はグラスを置いて静かにJ先輩に尋ねました。
本来は聞いてはいけない質問でしょう。
「先輩その女のこと好きなんですね?」
その私のその突然の言葉に先輩は驚いたようにグッと息をのみ、
言葉を詰まらせ、私をグッと睨みつけるように見ました。
先輩の目に怒りの炎が灯っていることは
私にもすぐにわかりました。
私は続けます
「本当はその女に先輩の存在を認めてもらいたいんでしょう?
 本当はその女とセックスしたい、舐めまわしたい、
 ヤリまくりたい、それが先輩の本音なんじゃないですか?」
J先輩はカッと目を見開き
焼酎を持つその手が震えていました。
そしてそのまま黙り込んでしまったのです。
しばらくすると先輩は諦めたかのように
段々と私に本音を話しはじめてくれだしました。
前から気になっていた
以前から好きだった
そんな女は今までにもいた。
でもある日その女が他の男と笑顔で
楽しそうに歩いているのを見かけてしまう。
湧き上がる強い嫉妬と敗北の感情
自分だけの天使を奪われてしまったという無力感
あの男が自分だったら・・・という妄想と後悔
止められない怒りと震え出てくるようなネガティブ感情
しばらくは何もする気になれない
そんな自分が嫌で仕方がないと思うようになってきたんだ。
だからそういった感情にならないよう
俺は女をずっと避けてきたんだ
先輩の言葉は切実でした。
「あの受付女もいつか誰かのものになるだろう
 いや、もうなってるのかもしれないな・・・」
そう力なくつぶやくと、
先輩はまた焼酎を一気にあおりはじめました
「もしも・・・」
私は静かに口を開きました。
「もし先輩がその女に惚れていることを認めるなら・・・
 その勇気を持てるのであればですが・・・
 オレが先輩の力になることはできるかもしれませんよ・・・?」
⇒ http://tinyurl.com/j3ma7q6

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